●当科では、2009年8月より、卵巣腫瘍および異所性妊娠に関しては、臍部単孔式手術へと基本術式を変更しました。また、手技が安定してきたことから、腹腔鏡下腟式子宮全摘術(Laparoscopic-assisted vaginal hysterectomy: LAVH)も、可能な限り臍部単孔式で行うこととしました。

当科での子宮全摘術についての、基本的な考え方を説明させていただきます。

●子宮全摘術と一般に呼ばれているものの殆どは単純子宮全摘術です(子宮全摘術には、単純子宮全摘術以外に悪性腫瘍に対して行われる広汎子宮全摘術、準広汎子宮全摘術がありますが、ここでは、その詳細は省かせていただきます)。単純子宮全摘術は、子宮筋腫や子宮内膜症などの良性の婦人科疾患や子宮頚部上皮内癌、早期子宮体癌に対して行われており、その適応は広く、婦人科手術の中でも最も行われる頻度が高いものです。

●子宮全摘術には、以前より、開腹による腹式子宮全摘術とお腹を開けずに腟の方から子宮を摘出する腟式子宮全摘術がありました。腹式子宮全摘術は、どこの病院でも行われている一般的な手技であり、婦人科医であれば誰でもが出来る手術ですが、お腹に大きな傷が残ってしまうという欠点があります。一方、腟式子宮全摘術は、お腹に傷がつかないので回復も早く、女性の場合には特に美容上も優れています。

 

●腟式子宮全摘術は、患者さん側からのニーズは高いものの、特殊なテクニックが必要とされますので専門的な技術を持つ一部の病院でしか行われてきませんでした。また、お腹の中の状態がわからないまま手術を行いますので、摘出できる子宮の条件(筋腫の大きさ、位置や癒着の程度)等により、大きな制限を受けます。私自身も、現在までに1400例の腟式子宮全摘術を行ってきていますが、自分の技量では、6割の方には腟式子宮全摘術が可能で、開腹が回避できるのですが、いくら頑張っても、4割の方ではいろいろな理由で開腹となっていました(腟式を専門にしていると自称している病院の多くでも似たような比率のデータが発表されていると思います)。

●近年、このような腟式の欠点を補いながら、より適応を拡げる(開腹率を下げる)目的で、一部の限られた施設でではありますが、腹腔鏡を用いる子宮全摘術が行われるようになってきました。腹腔鏡を用いる子宮全摘術にも、全ての処置を腹腔鏡下に行う全腹腔鏡下子宮全摘術(TLH)から腟式手術を補助する目的で腹腔鏡を用いる腹腔鏡補助下腟式子宮全摘術(Laparoscopically Assisted Vaginal Hysterectomy:LAVH)までありますが、当科では以前より腟式子宮全摘術を中心に行ってきた経緯もありますので、腹腔鏡補助下腟式子宮全摘術(LAVH)により手術を行っています。つまり、私の考える腹腔鏡補助下腟式子宮全摘術(LAVH)とは、単孔式腹腔鏡下手術では、お臍に小さな傷は残りますが、低侵襲手術である腟式子宮全摘術の利点を生かしながら、腹腔鏡を利用することにより安全に行える手術ということになります。

●従って、当科においては、現在の所、子宮全摘術に関しては、腹式子宮全摘術、腟式子宮全摘術、腹腔鏡補助下腟式子宮全摘術の3つの選択肢があり、それを患者さん毎の条件により使い分けて腹式の割合を極力少なくする努力をしているところです。

​岐阜県立多治見病院産婦人科

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